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2013年8月5日月曜日

パーカー

パーカーは、もっとも多くの人に浸透したスポーツ・ウエアであると同時に、
スポーツ・ウエアの枠をこえて、もっとも進化したアイテムであると言えます。
それはポロシャツの比ではありません。
老若男女、幅広く、誰でも、どんなシチュエーションでも着られる、すぐれたアイテムでしょう。

モードの世界においても、パーカーはたびたび登場するアイテムですし、
最近は、デザイン、素材ともかなり進化したものが出てきました。
ここまできたなら、これまでそのカジュアルさゆえにパーカーを敬遠していた方たちも、
難なくワードローブに取り入れることができるだろうと思います。

もうすでに何度も書いていますが、
カジュアルなアイテムを大人が取り入れるには、いくつかの方法があります。

たとえば、スポーツ・ウエアのブランドが作る、
従来からある、ごくふつうのデザインのパーカーは、
まさにスポーツをする際に適したものです。
デザインや素材はスポーツ用に考えられています。
こういったものは、まさにスポーツや、それに近いことをする際に着用するか、
または、日常においても、ごくカジュアルな場面での着用がふさわしいでしょう。
ご近所への買い物といった際には、なんら問題ないと思います。

一方、普段着ではなく、少しおしゃれをしたい場合には、
デザインにこるか、素材を上等なものにするか、していけばよいでしょう。

パーカーのデザインも、最近はかなりバラエティが出てきました。
ポンチョ風の袖口が広くなったタイプや、
ファスナーではなくボタン使いのもの、
あきがライダーズ風のもの、
裾をドローストリングスにしたものなど、
オーソドックスなパーカーにひとひねり加えたものが数多くあります。
プラダ・スポーツなどの、ハイブランドのスポーツよりのウエアの中にも、
デザイン性に優れたものがあります。
こういったものは、スポーツのためというよりも、
完全におしゃれのためのものですので、
カジュアルすぎるのを嫌う場合には、
このように何かしらデザインされているパーカーを選ぶとよいと思います。

もう一つは、上質な素材を使ったパーカーです。
代表的なものは、カシミアニットのパーカーでしょう。
パーカーをニット地で作ること自体、おしゃれなわけですが、
それをカシミアにすることによって、大人にふさわしいアイテムにパーカーが変身します。
そのほかにも、素材メーカーとして有名なファリエロ・サルティの生地を使ったものなども、
おしゃれ度は高いです。
これら、高級素材を使用したパーカーは、
形がごくオーソドックスなものであったとしても、
その素材感により、もはや単なるスポーツ・ウエアではなくなります。
そして、そういったものこそが、大人が着るにふさわしいパーカーなのです。

これらをコーディネイトする際に注意すべきなのは、
全体のフェミニンとマスキュリンのバランスです。
パーカーは、決して女性的なアイテムではありません。
それをそのままジーンズにあわせるのでしたら、
インナーはフェミニンな要素の強いものにする必要がありますが、
ワンピースの上に羽織る場合は、甘さの中に適度な辛さがプラスされ、
全体のバランスがちょうどよくなります。

パーカーという、一見、なんの変哲もない、ごくごく平凡なデザインのものを、
おしゃれに着こなすことができたら、それこそが、本当におしゃれであるということです。
全体のボリュームのバランス、
色の組み合わせ、
素材、
デザイン、
アクセサリーや小物との兼ね合いなど、
平凡なアイテムであればあるほど、きっちり詰めて構成していけば、
そのほうが、ごちゃごちゃしたデザイン性のあるものをたくさん着こむよりも、
すっきりおしゃれに見えます。

買う前に、まず色を決めて、素材と形を吟味しましょう。
簡単なものであればあるほど、簡単には買わないこと。
シンプルなデザインであればあるほど、こだわりを持って選ぶこと。
その繰り返しが、おしゃれ上級者への道です。

自分の感覚にぴたっとはまった、
シンプルなデザインのアイテムがワードローブにそろえばそろうほど、
無駄な買い物をする必要がなくなります。
遊ぶのはそのあとで十分、間に合います。

まずは自分の感覚を信じること。
おかしいと思ったら、疑ってみること。
人の意見に惑わされて、失敗する、その前に、
再び自分の中心、すなわちハートへ戻ってみてください。
ハートがどきどきするのなら、
それがときめきのどきどきなのか、
不安のどきどきなのか、よく見定めて、
最後は自分自身で決めましょう。

その感覚は、たぶん、合っています。
もうそろそろ、見えないものを察知する能力も養われたはず。
そうすれば、一目見た瞬間に、膨大な情報がダウンロードされます。
そして、それはいつだって、正しいものなのです。
初めに違和感を感じたならば、一切、拒否しましょう。
パーカー1枚から、それができるようになったなら、
あなたはもう近づいています。
すべてを見通せる目を持つ自分に。