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2011年6月20日月曜日

アーカイブとしてのディオール




久々にアウトレットに行き、ハイブランドのコート、ジャケット類を片っ端から試着してきました。
私が行くのは静岡県の御殿場なのですが、プラダ、グッチ、サンローラン、ランバン、マーク・ジェイコブス、バーバリー・プロ―サムなど、エルメスやルイ・ヴィトン以外なら何でもそろっています。
アウトレットなわけですから、試着したのは今期の春夏ではなく、去年の冬もの。
流行というものは高いところから低いところへ流れていきます。ですから、去年ハイブランドで発表されたものは、今度はデパートに入っているようなナショナルブランドが同じ形を発表します。
なぜか。それは去年のものをサンプルとして買ってきて、それをそのまま作って売るからです!
(一般にはこの行為を「パクる」と言いますね)

まあ、その話はいいとして。
それで、試着室へ入る必要のないものを次々着ていったわけですが、ある1つの傾向がありました。
それは、ウエストが細い、ということ。
私が着てみたのはヨーロッパサイズで36とか38なのですが、どれもウエストはぴったりです。
冬ものなので、たとえば、中には薄手のニットを着られるぐらいといった感じ。
また、ウエストが細いのと同時に、肩幅が若干広くなっています。そして、ウエストから下は少しフレア気味。またはペプラムとなっていました。
これは1つのブランドだけでなく、ほぼ全体を通して見られる傾向です。
それで思い浮かんだのが、ディオールのニュールックです。
まさに写真にあるようなスタイル。

シルエットというのは流行によってどんどん変わっていきます。
私が「ルール」としてシルエットにはあまり触れないのはそのためです。
こういう体型の方にはこのシルエットがいいですよといっても、それはどんどん変わってしまうので、ほんの次の瞬間には通用しなくなってしまいます。

けれども、流行をずっと見ていくと、必ずかえっていくスタイルというものがあります。
ふだん着の場合だと、それは、1つは制服やスポーツウエア、そしてもう1つがディオールが戦後打ち出した、ニュールックです。
もちろん、そのままということはありません。しかし、去年の秋冬からの流れは、あきらかにオリジナルを、ディオールのこのスタイルに持っていると思われます。
ディオールが発表したのは、このスタイルだけではありませんが、どれも現在のファッションのシルエットに多大な影響を与えているのです。
このように、欧米のデザイナーたちには、必ず返るべきスタイルがあります。
どんなにアヴァンギャルドとかいって、形を崩したものが流行っても、彼らはこの原点を忘れません。

今年の秋冬は、デパートの店頭にも、このスタイルのジャケットやコートが並び始めるでしょう。
次の「新しさ」を感じたい方は、この形を選ぶのがいいのではないかと思います。

☆ちなみに、この写真のルックスですが、私はロンドンのヴィクトリア&アルバートミュージアムで実物を見ました。ものすごく細いウエストでした。今も展示されているのでしょうか。